フロンとは?
フロンガスは、エアコン、冷蔵庫など身の回りの様々な用途に活用されてきました。
しかし、1980年代以降、フロンガスがオゾン層を破壊することが分かり、最初のフロンガスである特定フロン(CFC、HCFC)は国際規制(モントリオール議定書)で全廃が決定されました。
その後、特定フロンを代替するために使用されたのが代替フロン(HFC)です。
ところが、代替フロンは、オゾン層を破壊しないものの温室効果が非常に高いことが分かりました。
そのため、代替フロンは温室効果ガスとして排出削減対象となり、環境省も大気中への排出を厳しく監視する規制を設けています。
自然冷媒の可燃性は?
炭化水素を使用した冷凍空調機器の安全性についての研究
ドイツ連邦経済エネルギー省の「Proklima」プログラムでは、1996年のモントリオール議定書以降、自然冷媒による持続可能な冷凍空調機器についての研究がなされてきました。
そのうち、2008年のレポートでは、当社も採用している炭化水素を使用した冷凍空調機器の安全性についての論文が掲載されています。
そこでは、イギリスの可燃性の自然冷媒を使用した機器の出火リスクは、一般的な家電製品と同等であり、可燃性の冷媒(R600a)の導入後も出火リスクの増大は確認できないことを結論づけていま す。
つまり、現在の欧州においては、可燃性の自然冷媒による機器は一般にも広く普及しており、適切な品質管理とメンテナンスが行われている限り、可燃性の自然冷媒のリスクは従来品と同等との認識になっています。
出典:Safety of Appliances Using Hydrocarbon RefrigerantsDr. Daniel Colbourne, Re-phridge, UK2008, ドイツ連邦経済エネルギー省「Proklima」レポートより
なぜ、フロンガスを
放出してはいけないのか?
フロン回収・破壊法(2001年6月22日 施行)(特定製品に係わるフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律)において、業務用冷凍空調機器の整備時・廃棄時のフロン類の回収、回収されたフロン類の破壊等を推進することが定められました。
しかし、その後もフロンの回収は進んでいなかったため、フロン排出抑制法(2015年6月12日 施行)(フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)さらには、改正フロン排出抑制法の改正(2020年4月1日 施行)が施行されることにより、罰則規定など規制の強化が進んでいます。
なぜ、業務用冷凍空調機器の
定期検査が必要なのか?
環境省の法令について
フロン排出抑制法(2015年6月12日 施行)(フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)さらには、フロン排出抑制法の改正(2020年4月1日 施行)により、第一種特定製品の定期点検が義務づけられました。
※:第一種特定製品とは
業務用の冷凍空調機器であって、冷媒としてフロン類が使用されているもの
(ただし、カーエアコンは対象外。カーエアコンは自動車リサイクル法に基づきフロン類を回収する。)
- 店舗用エアコン
- ビル用マルチエアコン
- 業務用冷凍冷蔵庫
- 冷凍冷蔵用ショーケース
- スポットエアコン
- 輸送用冷凍冷蔵ユニット
定期検査について
簡易点検:保有するすべての機器に対し、3ヶ月に1回以上実施。
定期点検:一定規模以上の機器に対し、1年または3年に1回以上、専門業者に委託して実施することが法令で定められました。
「Refrigerants, Naturally!
(「自然」冷媒でいこう!)」
プロジェクト
2004年に「Refrigerants, Naturally!
(「自然」冷媒でいこう!)」プロジェクトのメンバーは、国連環境計画、NGOグリーンピースとともに野心的なミッションを定めました。
そのゴールは、新たに販売される冷蔵冷凍機器に自然冷媒を使用し、技術的にも法的にも実現可能な形で統合していくというものです。
レッドブル、コカ・コーラ、ユニリーバ、ペプシコ、IKEA、マクドナルドといった主導メンバーはこのミッションを達成したと宣言し、2017年に公式にプロジェクトを終了しました。
2004年から2017年末までの13年間に、725万台の自然冷媒を使った機器を世界中に設置することができました。
このように、先進国の大企業では、持続可能な冷蔵冷凍空調機器として自然冷媒を採用することは一般的になっており、日本国内と大きく事情が異なっています。
出典:https://www.refrigerantsnaturally.com/english/about-us/previous-achievements/